こんにちは、りょーすけ(@tonbonline)です。
ぼくは現在、「東大生の1日を50円で買ってくれませんか」という企画で、自分の1日を50円で売っています。
70件ほどご依頼をいただいているのですが、先日、ある方が企画に応募してきたので、その模様をお伝えしたいとおもいます。
おーい
すいませーーん
どーん!
東大卒のポーカー世界チャンピオン、木原直哉さんだーーーーーーー!!!!
ポーカー世界王者・木原直哉さん
北海道名寄市生まれ。
2001年、東京大学へ入学。
在学中に3回の留年と3年の休学を経験したのち、10年かけて、東京大学理学部地球惑星物理学科を卒業。
大学時代には、将棋部に所属。
2007年に友人から勧められてポーカーをはじめると、2012年の世界ポーカー選手権大会において、日本人選手として初となる世界選手権での優勝を果たす。
木原さん
はい
10年かけて東大卒業ってどうなってるんですか
ゆっくり話しましょう。そのあとにぜひ、東大の今のキャンパスを案内してもらいたいんですよ
というわけで、下北沢にある豚カツ屋さんへ向かうことに。
りょーすけくんも、東大で留年したんだよね。なにかあったの?
じつは、将来のことが不安になってしまって。会社で働くイメージがわかなかったので、あと1年もらって何かやってみようかなあと。
闇が深そうだね
お互い、東大で留年した木原さんとぼく。
あれやこれやと話していると、あっという間にお店に到着した。
さらっと豚カツ屋さんに馴染んでますけど、ポーカーの世界チャンピオンなんですよね。73億人いるうちの頂点って、どんな気分なんですか。
実はね、ポーカーっていっても、一つじゃないの。
えっ?
陸上にも100m走だったりハードルだったり、いろいろあるでしょ。あれと一緒で、ポーカーにもルールに応じて20種類ちかくが指定されているんです。ぼくが優勝したのは、ポットリミットオマハ シックスハンデッドってやつ
長いな・・・
そういえば、漫画やドラマで、ロイヤルストレートフラッシュって出てくるじゃないですか。ポーカーの役で最強のやつ。
あれって、実際できるものなんですか?
ただしくはロイヤルフラッシュなんだけど、65万回やって1回でるぐらいだね
65万回に1回かあ
なんかさ、ロイヤルフラッシュみたいな強い役で勝つと、いっぱいお金もらえる気がしない?
えっ、ちがうんですか?
1ペアでも2ペアでも、勝ちは勝ち。負けは負け。どんな手札で勝ったかは、関係ないの。もともとポーカーって、8割は参加しないで観戦するゲームだから。
やっぱり、豚カツ屋さんにだいぶ馴染んでる
木原さん、留年だけじゃなくて休学も3回していますよね。ポーカーに集中するためだっだんですか?
いや、ポーカーを知ったのは休学中だった。それまでは塾講師のバイトをしてたんだけど、26歳のとき友達にポーカーを教えてもらった。世界選手権で優勝したのは、その5年後。
次元がふつうじゃない
ポーカーって、手札がくばられて、自分が勝てそうならお金をかけていくゲームじゃないですか。ハイレベルな戦いになると、お互いの手札の読みあいになるんですか?
いや。じつは、ポーカーは投資と決断のゲームなんだよ
投資と決断?
株式投資もそうなんだけど、最初のうちはどんなリターンが返ってくるか、わからないでしょ。一見なにも価値がないようにみえても、長期的にみるとリターンがあるかもしれない。一方で、もしかしたら投資のしすぎだったかもしれない。
どのように投資するのかしないのかを、決断していくゲームなんだ。
奥深いなあ
そろそろ行こうか。東大のキャンパスが今どうなっているか、案内してほしいんだ。
おまかせください!
あっ、忘れないうちに50円。・・・ちょうどないから100円で。
ポーカー世界王者との真剣勝負
東大の駒場キャンパスへと向かうぼくたち。
街も、数年たてば変わっていくもんだなあ。
よく通われていた所とかありますか?このあたりに住んでらしたんですよね
普通のチェーン店とかだよ。勉強しに、児童館にも行ってた。あそこの児童館、卓球もできるからすごい良いんだよね。
卓球ですか。ぼく、ガキの頃から兄にみっちり鍛えられているんで、結構強いですよ。
へえ。
ヤる?
木原さん
殺りましょう。
そんなわけでやってきた、「池ノ上青少年会館」さん。
卓球の予約をする、ポーカー世界チャンピオン。
なかなかシュールだ
卓球台をかりられるまで、50分待ちだってさ。どうしようか。
うーん。・・・・・ぼくとポーカー対決してくれますか?
えっ、いいよ
ポーカーのルール
http://gutshot.jp/poker/
上のがポーカーの「役(=手札の組み合わせ)」の強さ。ストレート以上を出せればだいたい勝つらしい。
5枚の手札を配られたあと、次のいずれかの行動を各プレイヤーは行う。
・レイズ
場に出てる以上の金額をかける
・コール
場に出てるのと同じ金額をかける
・フォールド
勝負をおりて、すでに場に出ている金額だけ相手が取る
(レイズやコールをした場合、互いに5枚のうち好きな枚数を捨てて、その分の新しいカードを手札に加える。)
10円と20円を互いにかけてる状態でスタート。
二人とも5枚ずつ手札をとる
(おっ、この手札強いな)100円かけます(レイズ)
じゃあフォールド。はい、お金はりょーすけ君のもの。
え?
りょーすけ君が自身満々だったから、ぼくは勝負せずに降りたの。被害を最小限にしたってこと。
なるほど・・・
このとき、横にいた小学生たちはデュエルマスターズで遊んでいた。
この子たちが、留年した東大生と世界チャンピオンが児童館にてポーカー対決をしているという状況の奇妙さを理解できるのは、もう少しあとだろう。
手札を取りなおして、木原さんから再開。
200円で(レイズ)
そんな強い役もっているんですか?じゃあフォールド。
いいの?ぼくの手札、見せてないよ
・・・やっぱりコール(自分も200円掛ける)で。
木原さんは2枚、ぼくは3枚の手札を捨てて、新しいカードを取りなおす。
チェック(=200円のまま掛ける)。
コール。
手札をオープン
2ペアどうしですけど、どちらが強いんですか?
りょーすけ君のペアで最大なのは8だけど、ぼくは10だから、ぼくの勝ちだね。
おお・・・
記事で説明するのがめちゃくちゃ困難であるものの、通算で300円ほどぼくの勝ちという結果に。
・・・。
・・・。
・・・実際には、一回あたりどのくらいのお金を掛けるんですか?
いまの1000倍かな。20万円ぐらい
やべえ
卓球台が空いたので、次の真剣勝負へと移ることに。
いいんですか?ぼく兄に鍛えられてるんで、想像してる5倍は強いですよ?
まあまあ。ぼくの二つの十八番サーブを見てから言ってよ
十八番?
なにやってんだこいつ
ラリーもほどほどに、さっそく1ランド11ポイントの、3ラウンドマッチへ。
1ラウンド目
オルァァァァァ!!!!
はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
・・・木原ポイント
2ラウンド目
ほわちゃー!!!!!
きええええええ!!!!!!
・・・りょーすけポイント
3ラウンド目
そいやっさーさっ!!!!!!
はい!はい!Hi!Hi!Hi!!!
結果は
木原2 りょーすけ1で、木原さんの勝利
くやしい。
ポーカー世界王者と東大の駒場キャンパスへ
うわあ、懐かしいなあ。休学から復帰すると食堂ができていたっけなあ。
将棋部時代に引きこもっていたと噂の、学生会館にいってみましょうか
おっ、いいですね
足を運んでみると、将棋部の方々が指している真っ最中だった
会誌を拝借し、自分の名前があることをアピールするポーカー世界チャンピオン
こういう所は子どもっぽい。
きみたち、鈴木琢光って知ってる?
(将棋部員の方)いえ・・・どなたですか?
バックギャモンの世界チャンピオン。
OBすごいなー
片上大輔は将棋のプロ棋士だよね。
あー!
土井田勉は?東大に首席入学して、首席で卒業した人
その方もプロ棋士ですか?
いや、モノポリーのチャンピオン。
チャンピオン多くね?
ふと、将棋盤に目を向ける木原さん。
りょーすけ君・・・将棋、ヤろうか?
・・・木原さん。ぼく兄に鍛えられてるんで、想像してる10倍は強いですよ?
だいじょうぶ。手加減してあげるから。
かー!将棋部相手だとこれでも辛いかなー!
地獄のミサワかよこの人
〜20分後〜
参りました。
ポーカー世界王者・木原さんのおもい
将棋部の方にお礼したあと、学内の地下にあるカフェへ移動。
最後に大学生に伝えたいことはありますか?と質問すると、丁寧にこたえていただけた。
あのね、将来の安定とかって、考えても意味ないです。
えっ。
親世代に人気のあった職業って、JALですよ。
さらに一つ前の世代なら、鉄工です。
そのとき1番いい会社だって、ずっと続くとは限らない。安定なんて、どのみちしないんです。
大学生には、二つの生き方があるとおもう。
あまり勝負をせずに安定した暮らしをしたい人と、リスクとって好きなことをがんがんやっていく人。
安定した生き方がいいなって人は、大企業にいこうとするんじゃなくて、どこの企業にいっても使えるようなスキルを身につけること。転職しても、どこの会社からも引っ張られるようなスキルが理想です。
そうじゃなくて、積極的に生きたい人は、安定することを考えても意味ない、どうせ安定なんてしないんだから。
やりたいことをやって、考えたことを行動していくのが大事です。
失敗が大事ってよく言うけど、あれは違う。
失敗はするものなんです、しょうがない。失敗しても気にせず、次にいくのが一番大切。攻めの人生を歩みましょう。
ぼくだって安定しているわけじゃなくて、もしポーカー自体が廃れてしまったら、ポーカー以外のことをやっていかないといけないんだから。
ちょっと待ってください
はい
すげえ良い話じゃないですか
3度の留年と3回の休学・・・その後、26歳で初めてポーカーにふれて、5年後に世界チャンピオンになった木原さんの言葉には、説得力がありました。
人生はなにがあるかわからない。
その時々におきた出来事が、あとになってふりかえってみると、どんどん繋がっていくことがある
不安なこともあるかもしれないけど、いまを大切に生きる
大事なメッセージを、木原さんからいただいた気がします。
木原さん、ありがとうございました!
どん!
追記:
記事中のポーカーは、ルール説明のため「10/20円 5ドローポーカー」で行い、また、実際にお金の移動はなされておりません。